土俵上で「はっけよい、のこった!のこった!」と取り組みを裁く行司さんですが、仕事はそれだけなのか?
意外に楽なんじゃない?女子はなれないのかな?
と色々気になりだしたので調べてみました。
行司の仕事は勝負の判定だけ?
意外に知らない行司の仕事ですが、土俵上で取組を裁くのは行司の仕事の1つにすぎないそう。
それ以外にも実は多くの仕事をこなさなければなりません。
しかも調べてみたら、かなり多くの仕事があり、ビックリです。
では紹介していきます。
土俵上で取組を裁く
みなさんご存知のように行司は軍配をあげますが、進行役であるためスポーツ審判のように勝敗を決める最終権限はなく、物言いがあった場合は審判の協議によって勝敗が決まります。
力士の緩んだ”まわし”を締め直すなど取組を円滑にするサポートもしています。
土俵祭の司祭を務めます
土俵祭とは、場所前に、新しく作った土俵の安泰を祈って行う地鎮祭。
行司が祭主となり2名の脇行司を従えて儀式を執り行う。
行司は本場所の土俵開きだけではなく、各相撲部屋の土俵開きの祭主も務めます。
土俵入りの誘導役を務めます
十両土俵入り、幕内土俵入り、横綱土俵入りの誘導役を務めます。
土俵入りの後で明日行われる取組を紹介します
「顔触れ言上(かおぶれごんじょう)」といって、横綱の土俵入り後、中入りの取組が始まる前に、行司が明日の取組を土俵上で読み上げます。
番付表を書きます
力士の番付を独特の相撲字で番付に書きます。
この筆太の相撲字は”根岸流”と呼ばれ、楷書で隙間がないほどびっしり書きます。
番付に隙間がないほどびっしり書くのは、「お客さんがぎっしり入るように」という願いが込められているそう。
また、力文字(ちからもじ)とも呼ばれ、力士が互いに力を出し合う様を表しているといわれている。
番付は行司の中でも相撲字のうまい人が書くため、番付を書くということは、行司にとってとても名誉なことです。
約10日かけて書き上げます。
画像元:http://ja.wikipedia.org/wiki/番付
番組編成や取組編成の手助けをします
審判部の指示に基づいて番付原稿の作成をしたり、取組編成の下準備をしたりします。
番付の取組を「割り」といいますが、その書記役は行司です。
審判部が取組を決め、行司はその書記役を務めます。
決まり手や懸賞の紹介を場内アナウンスします
取組の決まり手を場内放送しているのは行司です。
また、力士や懸賞の紹介のアナウンスもします。
プロレスなどのように実況者が別にいるわけではなく、行司が交代で担当しています。
勝負結果の記録をします
取組の決まり手と勝負の結果を記録するのも行司の仕事です。
地方巡業の下準備や補佐役を務めます
巡業では、親方の補佐役として列車の手配や宿の手配などを担当します。
旅館やホテルの部屋割りも”相撲字”で書きます。
経理関係の記帳なども行司が書きます。
所属する部屋の雑務を担当します
行司は、相撲部屋に所属しているので、その部屋の事務的な仕事も処理します。
番付発送や冠婚葬祭の宛名書き、後援者への連絡、部屋の人別帳書きなどです。
人別帳とは力士・行司・床山・若者頭・世話人などの履歴のようなものです。
たとえば、新十両や横綱が誕生すると、その力士の過去の星取表なども作ります。
行司になるのは狭き門
行司の志願資格には、健康面の他、中卒以上の19歳までという年齢制限がある。
力士と同じように相撲部屋に入り、部屋から行司会、相撲部屋に推薦するという形になる。
行司は定員制であり45名以内となっています。空きがあって審査を通れば、行司になることが出来る。
そうして行司になっても、”年間に一定以上の差し違い”があると降格してしまう厳しい世界。
行司にも階級があった!
階級により装束なども変わる
階級 | 装束の生地 | 菊綴や軍配の房緒の色 | 履物 |
---|---|---|---|
1 | 立行司(木村庄之助) | 紺厚地(冬)/麻薄地(夏) 総紫 | 白足袋・上草履 |
1 | 立行司(式守伊之助) | 紺厚地(冬)/麻薄地(夏) 紫白 | 白足袋・上草履 |
2 | 三役格行司 | 紺厚地(冬)/麻薄地(夏) 朱 | 白足袋・上草履 |
3 | 幕内格行司 | 紺厚地(冬)/麻薄地(夏) 紅白 | 白足袋 |
4 | 十両格行司 | 紺厚地(冬)/麻薄地(夏) 青白 | 白足袋 |
5 | 幕下格行司 | 木綿 青か黒 | 素足 |
6 | 三段目格行司 | 木綿 青か黒 | 素足 |
7 | 序二段格行司 | 木綿 青か黒 | 素足 |
8 | 序ノ口格行司 | 木綿 青か黒 | 素足 |
相撲と同じように階級も決まっており、装束の生地や色、履物まで変わってきます。
行司の大相撲でいうう横綱は「立行司」
大相撲のように階級制である行司、中でも最高位であるのが「立行司」。
立行司は木村庄之助と式守伊之助二人からなり、立行司は”親方”とも呼ばれる。
また、歌舞伎のように代々受け継がれて行く。現在の木村庄之助は37代目であり、式守伊之助は40代目である。
相撲の掛け声「はっけよい、のこった!」”アレ”はどういう意味?
おなじみ、行司さんが掛けるあの掛け声ですが、どういった意味があるか知っていますか?
「ハッキヨイ(ハッケヨイ)」とは「発気揚揚」がつまったもので、気分を高めて全力で勝負しようという意味。
また、陰陽道の「八卦良し」から来たもので、四方八方準備ができた状態を表現したもの。不意打ちや抜け駆けを戒める警告が「ハッケヨイ」であると言われています。
「ノコッタ」とは「残った」意味で両力士とも土俵に残っている、勝負はまだついていないと知らせているものである。
お互い動かない時は、「ハッキヨイ(ハッケヨイ)」、技をかけている場合は「ノコッタ」の声をかけるそう。
まとめ
意外に知らなかった行司さんの仕事を知ると、意外にたくさんの事をしていることがわかりました。
まさかホテルの手配までやってるとは…。
知ってみると大相撲で行司さんを見るのも楽しみのひとつになります。
相撲を見ない若者世代の方も”行司”という仕事をきっかけに相撲に興味を持って頂ければいいなと思います。